日本の伝統再生に「眞葛香山の心」
「空白の明治」の中にあり、その素晴らしさのみが語り継がれてきた眞葛。父、長造から初代香山、そして四代までの作品、三〇〇余点を収録。その全貌が初めてここに姿を現す---。
眞葛香山
帝室技藝員
「 眞葛香山 」 まくず こうざん
田邊 哲人 著
¥25,000+税
ISBN4-7947-0424-0
叢文社

田邊哲人コレクション

田邊 哲人 Tanabe Tetsundo

眞葛香山研究会代表
20代より横浜の名士、帝室技藝員 眞葛香山の研究を始め、以後四十数年間にわたり、研究を続ける。特に日本に資料の少なかった初期眞葛香山作品の研究に力を入れた。
[ スポチャン ]ことスポーツチャンバラの創始者。
国際スポーツチャンバラ協会

平成13年 文部科学大臣より体育功労賞受賞
平成18年 警察庁長官賞受賞

著書に
『スポチャン物語』(叢文社)
『田邊哲人コレクション 大日本 明治の美 横浜焼き、東京焼き』(叢文社)
『小太刀護身道』(叢文社)
『和英スポーツチャンバラ』(叢文社)
『スポチャンをやろう!』(叢文社)
他、多数。



 「けだし、見るもの、その価を問わずも購入せしめんとす・・・・」
 明治初期の初代 眞葛香山の時の評判を記した書物に、そう書き残されていた。
 日本の芸術が世界において初めて同等以上に評価されたときだった。幕末から明治初期にかけてのほんの十余年間くらいの短い時期でしかなかったが、この「ジャポニズム」と称した「日本固有の芸術」がその技術の高さと意匠の斬新さをもって世界の有識者の中でその存在を認められた時だった。
 それは恰も鎖国というオリを吹き飛ばす噴火の様に蓄積したパワーとなって世界を驚かせた。そのエネルギーの源泉は、長い間、いずれの国の影響も受けずに純粋培養され続けて来た日本固有の感覚の中にあった。

 私は香山の明治初期作「高浮彫」群を見るとき、少年の時に縄文土器を初めてみた時の胸の高まりを覚える。
 日本の縄文期の土器は「日本固有」の文化である。
 それに比肩し香山の渡蟹水盤や枯葉鷲図花瓶を見る都度いかなる訳か血湧き肉おどるという強い胸の高まりを今でも禁じ得ない。
 渡蟹水盤は私が中学生の時、美術の本で見て、胸を突き刺す痛くなるような鋭い感覚でしびれたことがはっきりよみがえる。
 ある時、博物館で自分の身の尺程の縄文土器を見た時、そのド迫力と造形に圧倒され、しばらく開いた口がふさがらなかった。
 何故かわからないがその感動は香山の高浮彫を見た時と同様のような気がする。そのときはしばらくその場を離れることが出来ず立ちすくんでいた。。。。。。




目 次

世界での存在感

【 図版 】
  香山の歩み


  横浜での眞葛


  香山の変遷


  眞葛・印


帝室技藝員 眞葛香山

あとがき---
渡蟹水盤
宮川香山虎之助 最後の作品「渡蟹水盤」(一部)    田邊哲人コレクション所蔵
高浮彫枯蓮二白鷺花瓶
高浮彫枯蓮二白鷺花瓶
初代香山虎之助作
花を生け愛でる花瓶というより、もはや花を必要としない花瓶....すでにキャンバスとなっている。
ところどことを大きくへこまし、また、ふくらまし、枯れた葉からさらに朽ち果てた葉、また今から開こうとしている青々とした葉、輪廻転生、生老病死。

香山虎之助の作品の中からは、ただ単にデコレイティブだけではない深淵さが伝わってくる。
岐阜県立現代陶芸美術館より乞われ、田邊哲人コレクションより納入
高浮彫南天二鶉花瓶一対
高浮彫南天二鶉花瓶一対
初代香山虎之助作

   田邊哲人コレクション所蔵
高浮彫南天二鶉花瓶一対
高浮彫南天二鶉花瓶一対(一部)
この鶉を眺めていると、その面つきと鋭さに猛禽類の仲間であるかのようだ。

当時の野鳥も明治を生き抜く為にそれ相当の覚悟が必要であったのだろう。
高浮彫牡丹二眠猫覚醒蓋付水指
日光東照宮左甚五郎の眠り猫をおこしてしまった。
歯一本一本から舌まで、また耳の血管には血が通っているようだ。
高浮彫牡丹二眠猫覚醒蓋付水指(一部)
初代香山虎之助作

田邊哲人コレクション所蔵
これら、高浮彫類は製作に半年や一年はざらにかかったという。
したがってこれら虎之助自身は極めて少ない。虎之助は細部の
生毛まで作るといわれるこだわりでこの山鴫が、超音速で大空
に飛び立つコンドルの迫力である。

高浮彫鴫花瓶
高浮彫鴫花瓶(一部)
初代香山虎之助作

田邊哲人コレクション所蔵
高浮彫桜二群鳩花瓶一対
明治十三年メルボルン万国博覧会(一八八〇年十月〜一八八一年四月)が開催された。その時に香山は「桜二群鳩生粧飾品」で一等賞状を受けたという。このようなものであったろうか。大作である。しかも華麗である。桜花に鳩が戯れている。初期作の山鳩作品とことなり徐々に柔らかさが出てくるのは明治十年後半からである。印は空豆眞葛印といわれる後期のものである。
高浮彫桜二群鳩花瓶一対
初代香山虎之助作

田邊哲人コレクション所蔵
赤雲釉白竜紋花瓶 明治十五年、六年頃より中国陶器や西洋風に挑戦をしはじめ、それらをことごとく凌駕していった。
赤雲釉白竜紋花瓶
初代香山虎之助作

田邊哲人コレクション所蔵
彩磁紫陽花透彫花瓶(含珠焼) この作品と同様のものが、明治三十年(一八九七)春季美術展覧会(四月一日〜五月二〇日)二等賞銀賞「布還配彩極メテ温優ナリ花弁ヲ空濁スル亦新趣ヲ見ル」同品、宮内省御用品となる(日本美術協会報告第一一一,一一二号)。香山は含珠焼と称した。
彩磁紫陽花透彫花瓶(含珠焼)
初代香山虎之助作

田邊哲人コレクション所蔵
磁製紫釉盛絵杜若大花瓶 磁製紫釉盛絵杜若大花瓶
初代香山虎之助作

田邊哲人コレクション所蔵
青華山水花瓶 青華山水花瓶
初代香山虎之助作

田邊哲人コレクション所蔵
陶製木調弁天像
初代香山虎之助作

田邊哲人コレクション所蔵
陶製木調弁天像
南蛮意建水
南蛮意建水
初代香山虎之助作

田邊哲人コレクション所蔵
古伊賀意風炉
古伊賀意風炉
四代香山智之助作

田邊哲人コレクション所蔵

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