「幻魚」
著者:小田淳著
大自然の命を操ろうとした私に与えられた代償はかけがえのない命だった
「小説 白い川」鮭は数千キロ、数年にわたる大海回遊の後、産卵のために逆流に抗して遡行し母なる川に戻る。
〝鮭の母なる川にしよう〟亡き夫の遺志を継ぎおツルは、命をかけて白い川へ向かう。
「幻魚」子供を望む妻と離れ、釣場の管理人となった私は、不可能と言われていた鱒、山女魚の養殖に挑む。いつしか子供の温もりが恋しくなり、呼び寄せようとするが……大自然の怒りをかったかのごとく、ある日豪雨に見舞われ、私は全てを失う。(第2回電電時代賞受賞作)