「絵草紙日中戦争」
著者:江先光 著
貧しい中国の老婆から僅かな食料を奪い取り、無実の農民をスパイにでっちあげ、首を斬って、東洋平和の礎になれたことを幸せと思えと笑い飛ばした兵士。
現代から見ると得体の知れない思想によって鬼に改造された青年たちは、大陸の最前線で中国の民衆をひどい目に合わせる。そこには武士道のカケラもなかった。人間社会は「悪魔の思想」に絶えず禍いされる。現代もまた「いのちよりも金を尊ぶ金銭至上主義」「エゴ」「保身・事なかれ主義」。
米国のリーダーに見る「戦争をゲームと見る思想」。そして人類存続のために憲法九条を世界にひろめねばならない使命を忘れ、戦争参加容認に流れ始めた日本。自己の苦渋の戦争体験をもとに、悪魔の思想からいかにして社会を守るかを、五十年にわたって探り続けた著者の一石。