「今、お手本にしたい人 近代医学の先駆者 三浦謹之助」
著者:林 栄子 著
図書館協会選定図書。
今、お手本にしたい人—
「死ぬまで寸暇を惜しみ学問に身を捧げるのが学者の道だ」…八十六年の生涯を最先端医学の研究と後輩の指導に捧げ尽くした「志」はどこから生まれたのか?
福島県保原町に元治元年生誕。十三歳で上京し東大医学部をトップで卒業ヨーロッパに留学した謹之助は、世界の一流医学者に厳しい指導と温かい信頼を受ける。帰国後、明治天皇、大正天皇の侍医となり、昭和天皇の精神衛生のために生物学をすすめた。また、政官財の大御所の脈をとる一方で、下町の庶民にもわけへだてなく全力で診療にあたる。関東大震災や東京大空襲の際には、被災者の救済にかけめぐる。
晩年、足腰が弱るとリヤカーで登院し診療にあたった。八十六歳の身で夜半の往診に応じ、向かう途中でたおれ、生涯を閉じるまで医学のために生き抜いた男の素顔。
今、日本に必要なのはこの男の生き様ではないか—