「剣豪の城 北畠具教」
著者:深水聡之
塚原卜伝・上泉信綱の高弟。
将軍義輝と「竜虎」と呼ばれた具教(とものり)の守る南伊勢の大河内城に、天下布武を目ざす信長の七万の大軍が押し寄せる。
攻防五ヶ月。
信長は遂に糧道絶ちを仕掛けてくる。
誇りに生きヨ、斬り死にこそ本望…と怒号する具教。
「二十倍の大敵、勝算なし、降伏して部下の命を救え」と、父の怒りの木刀の前に立ちふさがる具房。
無気味に迫る九鬼水軍。
智略戦しかできない己を恥じて暴走する藤吉郎—。
和睦の使者の訪れに開城を決断した剣豪具教は、その前日、数騎で城門を開き敵中に突入。
修羅となって斬ってまわる—。